リングフィットの旅
11月30日、私は皮膚科の待合室で診察が始まるのを今か今かと待っていた。
顔面に出来た炎症の薬を貰いに病院に来たはいいが、土曜なのもありなかなか呼ばれない。かれこれ1時間は待っている。
そしてなぜそんなに急いでいるかというと、リングフィットアドベンチャーが欲しかったからである。
皆さんはリングフィットアドベンチャーを知っているだろうか。知ってるよね。オタクもVtuberもこぞってやって健康になったり筋肉痛になったり喘いだりしているアレだ。
私はその時猛烈にリングフィットが欲しかった。なんなら1ヶ月前から毎日そのことばかり考えていた。なぜならすっごい面白そうだったから。
じゃあさっさと買えよという話なのだが、Switch本体を持っておらず本体から買うか迷っていたのだ。そして思い切って本体を買った頃にはリングフィットが品切れし、転売野郎によってAmazonで定価の2倍で売られる状態になっていた。
途中、任天堂からダウンロード版での販売もあった。しかし本体購入時私はスマブラとスプラをダウンロード版で購入してしまった。愚かだった。ここでリングフィットまでダウンロードしてしまっては他のゲームをダウンロード出来ない。
そうこう迷っているうちにリングフィットのダウンロード販売も終わってしまった。愚か×2だ。
そんな時目に着いたのがゲオアプリについてのツイートだ(当時の私は「リングフィット 在庫」でひたすら検索をかけていた)。ゲオアプリはほぼリアルタイムで店舗ごとの商品の在庫を表示しているとのこと。そして私が行く病院の近郊のゲオにまだ在庫があったのだ。
欲しい。めっちゃ欲しい。
病院に行った帰りにゲオに寄って買おう。そう思ったところで冒頭に戻る。
時計の針とゲオアプリの在庫状況を交互に眺める。まだ、残っている。早く診察始まってくれ。そしてゲオに行かせてくれ。
ここで私は信じられないものを目にした。
受付「今からだと待ち時間が長いので12時まで外出していてもいいですよ」
患者「分かりました〜」
それ、私、言われてないぞ。
受付を問いただす。
私「まだ呼ばれるのに時間かかりますか?」
受付「そうですね」
私「12時までに帰ってくればいいなら今から外出してもいいですか?」
受付「10分前には戻ってきてくださいね」
この時点で時刻は10時半。乗り換えアプリによるとバスと徒歩で片道30分。行ける。そう判断し私はゲオに向かうことにした。
バスを待つ間に一応ゲオに電話をかける。
私「アプリにリングフィットの在庫があると書いてあったんですけど、本当にまだ残っていますか?」
ゲオの人「あと1つだけ残っています。先着順なので買いにこられるならお早めにお願いします」
あと1個!!!!!
かなり厳しいが、まだ望みは潰えていない。神妙な面持ちで私はバスに乗り込んだ。道中は降りるバス停の名前を何度も確認していた。
バスを降り地図アプリを開く。
アプリ「目的地まで徒歩30分です」
私「???????」
おかしい。乗り換えアプリだと徒歩10分くらいで着くはずなのに。
ここで私は重大なミスに気づく。
バ ス 停 間 違 え た
あんなに確認していたのに降りるバス停を間違えた。2つも前のバス停で降りてしまった。愚か×3。
時刻は10時50分。かなりギリギリだ。しかしアプリにはまだ在庫アリと書いてある。諦めるな自分、信じれば夢は叶う。
地図アプリとゲオアプリを交互に見ながらめちゃめちゃ早足で道を急ぐ。
〜20分後〜
こんなに急いでいるのに全然ゲオに着かない。何かおかしい。
店舗情報に載っている地図と地図アプリを見比べると、どうも位置がズレている気がする。本当に間に合うのか…?いや、大丈夫だ、きっと間に合う、きっと買え
あっ…。
私のリングフィット購入の旅は終わった。
消沈した面持ちで来た道を戻り、バスに乗り込む。
皮膚科には11時50分に着いた。受付との約束は守れた。
皮膚科で薬を貰い、帰路に着く。
…帰路に着こうとしたが、この日の晩ご飯をアヒージョにしようと思っていたため、パン屋でフランスパンを買おうと思い立つ。
もうここまで1700字も書いてるので結論を書くと、4軒回って全てのパン屋が閉まってた。店休日だったり営業時間終わってたり店自体がなくなってたりした。
むしゃくしゃしたので通りかかったケーキ屋でケーキを買って帰った。自分でも訳が分からない。
フランスパンは一旦帰宅後スーパーに寄って買った。最初からそうすればよかった。
アヒージョを食べながら考える。
ゲオまでの往復距離やパン屋のハシゴ、スーパーへの買い出しを考えるとすごい移動距離だしリングフィットなくても十分運動出来てない?スーパーは往復6キロ自転車だし、これをほぼ週1でするんだから運動不足って程でもないんじゃない?
ごめん、結局買った。しかもダウンロード版で。
よく考えたらゲームとかそんなにしないし容量とか気にしなくてもよかった。だからダウンロード版が再販された時すぐさま買った。楽しい。30日間毎日プレイした。
そしてこれを投稿している今、1ヶ月程リングフィットをサボっている。
天井のくるくる
シーリングファンとは
家の天井でくるくるしてるアレのことである。私はさっきググって知った。
そしてこの天井てくるくるしてるアレが私の実家にもあるのである。
先日、冬季休暇で帰省してぽけーっとしていた私に母が言った。
「これって逆回転出来ないの?」
考えたこともなかった。そして一緒に渡してきたリモコンも初めて見た。
リモコンはただ回転のボタンがあるだけだったが、弄っているうちにファンは逆回転し始めた。
するとどうだろう。部屋が体感2倍の温度になったのだ。
17年間住んできて経験したことのない暖かさ。
ググッたところ、シーリングファンは夏と冬で回転方向を変えなければいけないものらしい。それをこの家はずっとやってこなかったのだ。
今まで凍えて生活してきたのって、一体なんだったのだろう。
でもこんな悲しい思いは2019年に置いておこう。
さよならさむさむ。こんにちはぬくぬく。
あったかい年になりますように。
今上映中の2大暴力とそれに全く関係ないもの
JOKERスゴかった
とりあえずHiGH&LOW THE WORSTを観ろ
そんな話をTLやチャットで30回くらい見たのでどんなものかと観に行くことにした。
と、考えたのが2日前のことだ。
私は当日にやる気がなくなって行くのをやめるのを何度も繰り返してきたので、今回は何人かに「JOKERとハイローを土曜に観に行く」と宣言しておいた。
しかし、なぜだろう。映画を観に行く前日、つまり仕事終わりの金曜、私は冷凍餃子を焼き12%のチューハイで流し込んでいる。
このチューハイは私がお菓子をあげたお礼にと先輩が買ってきたものだ。前に99.99を週末飲んでいると言ったら、強い酒が好きだと思われたらしく「飲んだことないけどあげる」と渡してきた。
感想を言わなきゃいけないとはいえ、別に今空けなくてもいいはずなのだが、初めてのものはとりあえず食ってみたくなる私の性分で飲んでしまった。
結果、5時間のタイムスリップに成功した。時計は3時を指している。今ならすぐ風呂れば4時に寝れる!そう思ったのだが、なぜか私はTwitterを開き、チャットを眺め、ゲームアプリで遊び始めた。
就寝したのは5時になった。
AM8:30 起床
嘘
目が覚めただけで起きてはいない
体が痛い。頭がフラフラする。二日酔いというより、変則的な睡眠による不調だ。
映画館に行くには9時半の電車か11時半の電車に乗らなくてはならない。
まだ引越して半年のため地理に疎く(特に私は方向音痴だ)、余裕を持って9時半の電車に乗りたい。ショッピングモールだから早く着いても時間を潰す方法はいくらでもある。これに対し11時半は到着から上映まで50分しかなく、フードコートで昼を済ませることを考えるとギリギリな気がする。絶対9時半がいい。
が、私はTwitterを開いた。
11時半の電車に乗ることが決定した。
どうにか電車に乗れた。ほっとした私はチャットの書き込みをぽけーと眺めていた。
そうして目的の駅に到着してから気づく。
バス停って、どこだ?
よく見ると乗り換え時間が3分しかない。あ、これ駅の裏側に出る方じゃん。急いで正面出口へ急ぐ。間に合った…?待て、目当てのバスがないぞ。もしやさっきの方で合って…
戻った時、走っていくバスの後ろ姿を見た。この世は無常だ
地図アプリを開く。2.3キロ。まあ歩けない距離ではない。早足で歩く。途中車と自転車の事故を見た。既に私はゴッサムシティにいるのだろうか。ごめん、なんの知識もないので適当いった。
思ったより早く映画館に到着し、券も買った。とはいえ余裕はないので目についたケンタッキーのバーガーを食べる。気が急いでるせいかあまり味がしない。
トイレに行くとサブウェイが近くにあった。こっちが安くて美味しそうだ。しまったな…私はこういうのに気づくのが遅い。
以下軽いネタバレ。ネタバレ過激派の人はネタバレ終わりまでスクロールしてください
JOKERの上映が始まった。開始即理不尽な暴力、富裕層と貧困層、精神病、弱者への支援の打ち切り、晒し者、信じていたものの嘘と裏切り、憧れの人への失望、無敵の人の完成…ヤバい、薄っぺらいところしか分からない。明らかに何か他にあるはずなのだが全然見つけきれない。どうなってるのか分からないところもある。私はネタバレとか全く気にならないタイプなので、これはもっと頭いい人の解説とかを読み込んでから観るべきだった。
後、途中から目が霞んできた。涙ではない。疲れ目だ。睡眠不足による眼精疲労が映画への集中力をどんどん削っていく。
3時上映終了。
次は20分後にHiGH&LOW THE WORSTだ。
カロリーを(主に眼精疲労で)消耗したのでたこ焼きを食べようとする。が、結構並んでいる。10分粘ったが、結局何も食べずに場内に入った。
開始即暴力は同じ。しかしJOKERと違い、頭と筋肉のリミッターが外れた暴力ではなく、魅せる暴力。さすがエンタメ作品。顔のいい男がボコボコにしてされまくっている。カッコイイ。しかしここで問題が。軽く相貌失認気味の私は途中から誰が誰だか分からなくなってきた。名前と顔が一致したの村山とジャム男しかいない。特に名前…なんだっけ…後最後学校やめたりまだ因縁がない高校の下見しに行ったりしたのなんで?
ネタバレ終わり
映画館を出たらかなりフラフラになっていた。トイレの鏡を見たらハイローの悪役のチンピラみたいなクマができている。人殺しみたいな顔。そもそも私は2本連続で映画を見たことがなく、集中力も体力も(主に睡眠不足のせいで)限界になっていた。
これは何かお腹いっぱい食べて元気をつけないといけないな。そう思いインドカレー屋に入った。インドカレーのナンはバカでかいので値段の割にお腹いっぱいになれるのだ。
チャイが飲みたかったのでそれがついている少し高めの料理を注文する。美味しい。しかしナンが思ったよりすぐに平らげてしまえたので、無料のナンをおかわりする。
…さっきより大きくないか?なんか分厚いしデカい。
半分食べたあたりで腹十二分目くらいあったが、おかわりした手前最後は無理やり詰め込む。気持ち悪い。
吐きそうになりながら会計をすると思ってた金額より200円も高かった。私は消費税の存在を忘れていた。
店を出る時、「映画の半券でお好きな飲み物1杯無料!」のポスターを見つける。これなら安い料理でよかったのに。私はこういうのに気づくのが遅い。
行きは歩きで来たものの、帰りは夜で危ないのでバスを待つ。時間が少しあったのでソファでぐったりとする。頭も体も胃も全部最悪だ。これが映画を見た結果であればいいのだが、全部私の計画性のなさと不摂生の為なので救いがない。
バス、電車、駅から家までの自転車を吐き気を堪えながら帰宅する。
本当に体調が悪い。
学び
映画を2本観る時前日に12%のチューハイを飲んではいけない。さっさと寝る。ナンはいけそうな気がしてもおかわりはしてはいけない。店に入る前に半券サービスを確認する。
以上です
カメムシウォーズ
先週は年期末で多忙だった私は自分を甘やかすべく美味飯を食いマッサージをし美味飯を食い酒を飲みうたた寝し、そして起きた
起きて視界に入ったのは2匹のカメムシだった
時刻は0:20。天井の照明に2匹のカメムシ
起きて視界のピントがあった瞬間の絶望
うら若き女性である私だが、同世代の人よりは虫への耐性がある自覚はある(母の実家がマジの田舎だったので)
しかしカメムシは別だ。なぜなら臭いから。もし何かの拍子に刺激して強烈な匂いを撒き散らしながら飛び回られたらと思うと怖くて眠れない。現に照明の周りをブンブンしているのだ。うるせぇ
どうにかせねば
1つ作戦を立てる。虫は光に誘われる。実際今は天井の照明に集まっている。なら地面に明かりを置き部屋の電気を消したらそっちに集まるのでは?
そうして出来たのがこちら
懐中電灯でおびき寄せ、袋の中に閉じ込める作戦だ
暫し待つ
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
来ない
そして羽虫がいっぱい来た
レジ袋に10匹くらい集まっている。室内なのに
いくらターゲットではないとはいえ室内に虫がいるのは不快なので袋越しに潰していく。命よさようなら
ふと見るとカメムシは照明から離れ別々に動き初めていた。完全に逆効果である
我が家は周りを薮に囲まれており、確かに虫が多い。しかし今は網戸を閉めており虫が入ってくる隙間はないはず。一体どこから
そう考えながら唯一の窓であるベランダに繋がるデカい窓をまじまじと眺めてみる
正気に戻る
天井を見て絶句した
増えている
先程窓が閉まっているのを確認したにも関わらずなんで
しかし幸いにも壁面の壁に集まっていた
これなら、いける
手にレジ袋を装備する
そっと忍び寄る
捕獲
「犯人確保ぉ!」
思わず声を上げる。隣の山田くんごめん
袋の口を閉め、新たなレジ袋を装備
「・・・よし」
2匹目、確保
不法侵入の罪を侵した犯罪虫をレジ袋へ収容する
3匹目。コイツは厄介だ。そのままでは届かない
踏み台を持ってくるからじっとしてろよ
よし
「・・・確保おおお!!!!!」
逃走犯全員確保
1時間に渡る戦いだった。ほのかに香るカメムシの匂いの中で私は達成感を噛み締めていた
自らの平和を取り戻した勇者は眠りにつく。おやすみなさい
朝
戦いは続く
コンビニへケーキを買いに
自転車を走らせていた。コンビニでケーキを買う為に。
空は曇天。今にも雨が降り出しそうだった。
なぜケーキを買うのか。今日が私の誕生日だからだ。discordの3つの鯖で誕生日をアピールして強制的に祝ってもらった。1人友達からもLINEがきた。
しかしそれだけでは終われない気がしたのだ。23歳という特に区切りでもなんでもない年齢が、私をケーキへと駆り立てた。
最寄りのコンビニまで2kmの距離を自転車で走る。ケーキ屋は4km先だったので諦めた。
生ぬるい風が身体に絡みつく。湿度が高い。退勤後漕ぐ自転車のペダルが重い。車は持っていない。
頬に雨の感触。まだ小雨。大丈夫、急げば間に合う。
コンビニに着いた。この前気になってたモンブランを手に取る。でもこのショートケーキも美味しそうだ。
3分程迷ったのち、商品をレジに持っていく。
レジ袋を持って店を出る。
大雨。
ダメだった。普通に降っていた。
降っていようとも自転車で家に帰らねばならない。
カゴに商品を入れペダルを踏み込む。
職場のポロシャツに雨が染み込む。
道中同じ職場の人とすれ違う。
「雨だけど頑張ってね!」そう声をかける彼女も傘を持っていなかったようでびしょ濡れだった。
雨はますます酷くなる。メガネが濡れて見えなくなる。買ったばかりの靴がぐしょぐしょだ。
雷が光る。髪が顔に張り付く。それでも自転車を漕ぐ。これで自分の誕生日を祝う為に。
家に着いた。全身濡れ鼠だ。誰もいないのをいい事に玄関で服を全て脱いだ。その時。
停電になった。全裸なのに。まだ玄関にいるのに。暗闇の中で洗濯カゴに服を放り込み、バスローブを羽織る。
2分程で停電は解消した。全裸で停電は色々ヤバい気がしていたので安堵する。
全裸にバスローブのまま飯の準備をする。休みの間に作り置きしていた肉を解凍する。平日だが酒も飲む。誕生日だし。
飯を食った。酒も飲んだ。いよいよメインのこれを食べる。
たらみのゼリー
説明をさせて欲しい。
確かに私はケーキを買うつもりでいた。昨日の10時くらいからずっと思っていた。しかし昨日までの涼しさとはうってかわって今日はとても暑かった。自転車でコンビニに着く頃にはケーキっていう気分ではなくなっていた。そして何よりたらみのゼリーは美味い。大好き。
後悔もあった。ゼリーならケーキと違い日持ちする。なら日曜日買い物に行った時に買っておけばこんな雨に濡れることもなかった。自転車を漕ぎながらそんなことを考え、みすぼらしい気持ちになった。
しかし私はあの時ゼリーを食べたいと思った。そして日曜時点ではそんなつもりはなかった。それが全てだ。
ゼリーは美味かった。
ありがとう、たらみ。おめでとう、私。
23歳、これからも生きていくよ。
追記:この話を人にしたところ「病人以外にコンビニでたらみのゼリー買うやつっているんだ」と言われました。
追記2:投稿したのは9/4ですが誕生日は9/3です。
夏を食べたい
7月27日。夏。
うだる暑さ。燦々と輝く太陽。アスファルトの陽炎。やかましい蝉。
無理。世界が無理。
運動会を病気で休むような人間にこの環境は厳しすぎる。
夏なんて気候ゴミ箱に捨てたい。
…いや、捨てんのもったいないな。どうせなら有効活用して消費するか。
食べよう。
夏を食べよう。夏の暑さの代表、蝉を食べよう。
昆虫食には以前から興味があり、某サイトを見ては一度体験したいと考えていた。
某サイトによると蝉は成虫より幼虫の方が美味しいらしい。フンだしの必要もない為、採集してすぐに調理が出来るとの事。茹でた後油で揚げて塩をかけると絶品だそうだ。ビールが欲しくなるやつ。
という訳でこの記事は蝉の幼虫を採って食べようと考えた人間の話だ。
準備
早速下見に向かう。
こことか良さそうだ。
装備を整える
・水筒
・レジ袋
・虫除けスプレー
・懐中電灯
・タオル
当日の服装
長袖の服で蚊から体を防備する。上に着ているのは10年以上着ているユニクロのパーカー。服っていつ捨てればいいのか分からない。腕には電池で光るブレスレットを着けた。
出発
以下時刻を併記していく。
19:32
家を出る。
Googleによると蝉の幼虫が出てくるのは日没後らしい。
早速目的の場所へ…ん?
こんなとこに公園あったのか。蝉の声も聴こえるしちょっと寄ってみるか。
19:40
辺りを探索する。幼虫が出てきた穴はある。ここでも見つかりそうだ。
分かりづらいが蝉が出てきた穴がいくつかあいている
しかし…
鬱蒼としている。これはいつ不審者がやって来てもおかしくないな。いや不審者は私なんだが。
公園の横は思ったよりも車通りがあり、車が通る度に後ろめたいことをしている気持ちになる。
どれだけ虫除けスプレーを撒いてもしばらくすると蚊が集まってくる。顔面に向かってスプレーしたらむせたし眼鏡が汚れてしまった。
19:52
どこからか「ドンドコ」「ヨイショ」と祭の太鼓の音と掛け声が聞こえる。今日が土用の丑の日だからか?
20:05
蝉の声が完全に止んだ。完全な暗闇。懐中電灯が照らす範囲が狭く、正直言って心細い。公園無駄に広いし。通報されて捕まって会社クビになったらどうしよう。まだ入社して3ヶ月しか経っていないのに。
こんな感じで公園を歩き回っている
20:09
幼虫が見つからないこともあり当初予定の場所に向かう。精神が持たない。
20:16
予定の場所へ到着。暗闇のせいで少し迷ってしまった。気が狂いそうだった。
木の根元を一つ一つ見て回る。狭い為すぐに周回出来る。雑草もそんなに茂っておらず先程の公園より随分歩きやすい。
寂れた滑り台。趣きがありすぎる
蝉の抜け殻があちこちにあり、期待が高まる。尚、昆虫が苦手な人に配慮し、写真ではなく小学生風の絵を掲載しようと思う。
蝉の死骸もたくさんある
20:20
スマホを持った通行人を見て通報されてるのではという被害妄想を抱く。たまらず声をかける。
私 「こんばんは」
女性「こんばんは」
私 「昆虫採集やってるんです」
女性「そうですか」
私 「不審者みたいですみません」
女性「いえいえ」
予防線を張ったことで安心感が生まれる。
20:38
カブトムシの死骸を発見する。
21:05
花火の上がる音が聞こえるが見えない。
21:08
カメムシの交尾を見つける。
21:10
ゴキブリを発見する(素早すぎて撮れなかった)。
21:14
いつの間にか花火の音が止んでいた。祭の音も聞こえない。蚊もいない。
21:20
心が折れてきた。
21:23
虫(多分蝉)が飛んできて胸にとまる。ビビる。すぐどこかに飛んでった。
21:25
なぜ私はこんな事をしているのだろう。
21:33
パトカーが止まる。
2人の警察官が出てくる。
私 「こんばんは」
警察官「こんばんは」
私 「今昆虫採集をやっています」
警察官「なるほど。ちなみに何を?」
私 「蝉の幼虫です」
警察官「確かにそれは夜じゃないとダメですね」
警察官「今不審者の見回りをやっていまして、誰か怪しい人はいませんでしたか?」
私 「私より不審な人はいませんでした」
警察官「分かりました。規則なので身分証明書を提示してもらってもよろしいですか?」
私 「(免許証を出しながら)声かけられたってことは帰った方がいいんですか?」
警察官「こちらの立場としては早めに帰った方がいいですよとしか言えないですね。成人されてるので問題はないですがやはり若い女性が夜出歩くのは危険なので」
私 「そうですよね」
警察官「確認致しました。それではお気を付けて」
私 「はい」
人生初の職質だった
帰ろう。
結果
蝉の幼虫を採って食べるどころか見つけることさえ叶わなかった。
原因としては梅雨明けが例年よりも遅く羽化する蝉があまりいなかったことが考えられる。
8月頃に行けばまた結果は変わるかもしれない。
あと、夜の公園に1人でいるのはめちゃくちゃ怖い。
21:49
家に着いた。非日常からの解放。
00:01
アイスボックスに99.99(フォーナイン)を入れたやつを飲んで寝た。
蝉の素揚げが無くてもこれだけで満足。
夏のことは忘れた。
おまけ
元の画像
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